はじめに:70代こそ始めどき!葬儀・お墓の準備とは?

こんにちは、終活やす子です。この記事では、70代のシニア世代に向けて「葬儀・お墓の準備」の基本をどこよりもやさしく、そしてどこよりも徹底的に解説します。
最近は「終活」という言葉も一般的になり、ご自身の最期について前向きに考える方が増えています。ある調査では、60~74歳の約79%が終活は「必要」と感じているものの、実際に始めている方は約38%に留まっていました(halmek-holdings.co.jp)。多くの方が必要性を感じつつも、「何から始めればいいの?」と悩んでいるのが現状ではないでしょうか。
葬儀やお墓の準備は、決して縁起でもないことではなく、残される家族への思いやりでもあります。元気なうちに準備を進めておけば、いざというとき慌てずに済み、家族に負担をかけません。この記事では、葬儀とお墓について70代から始めるべき準備ポイントを基本から丁寧に説明します。一緒に安心できる終活の一歩を踏み出しましょう。
1. なぜ70代から葬儀とお墓の準備を始めるべき?
1-1. 今だからこそできる「備え」がある
70代は人生経験も豊富で、ご自身の希望や家族の状況がはっきりしてくる年代です。まだお元気なうちに、自分の葬儀やお墓について考えておくことで、「自分らしい最期」をデザインできます。また突然の病気や介護状態に備え、今のうちから準備をしておけば心の余裕にもつながります。
お葬式やお墓のことはデリケートな話題ですが、早めに向き合うほど選択肢も広がり、冷静に判断できるメリットがあります。例えば、どんな形式の葬儀にするか、誰に連絡するか、お墓をどうするか――元気なうちに決めて家族に共有しておけば、万一のとき家族が困りません(senior-job.co.jp)。
実際、「終活は必要だと思う」と答えたシニアは8割近くいる一方、「具体的に葬儀やお墓の準備をしている」方は2割程度とも言われます(halmek-holdings.co.jp)。裏を返せば、まだ多くの方がこれから準備を始める余地があるということ。70代は決して遅すぎることはありません。今日がこれからの人生で一番若い日です。できることから少しずつ始めてみましょう。
1-2. 家族に負担をかけないためにできること
ご自身の葬儀やお墓の準備をしておく最大の理由は、残される家族の負担を軽減するためです。人が亡くなった直後、ご遺族は悲しみの中で様々な手続きを行い、短期間で葬儀の準備を進めなければなりません。もし生前に何の希望も聞いていなければ、葬儀の規模や形式ひとつ決めるにも悩んでしまいます。
生前に希望を伝えておけば、家族はその方針に沿って進めるだけで済みます。「どんな葬儀にしたいか」「誰に連絡してほしいか」などを整理して伝えておくことは、残される人への最後の思いやりと言えるでしょう(senior-job.co.jp)。特に、喪主(葬儀の責任者)を誰にお願いするか、遠方の親戚や友人に知らせるか否か、といったポイントは事前に決めて共有しておくと安心です。
さらにお墓についても、生前に方向性を決めていれば、「どこに遺骨を納めるか」で家族が悩むことがありません。近年は「お墓が遠くて管理が大変」「後継ぎがいないのでお墓をどうしよう」というケースも増えています。後述しますが、そうした場合の選択肢(永代供養墓や樹木葬など)も用意されています。元気なうちに情報収集し、家族と話し合っておくことで、残される家族が困らずに済むのです。

「終活」というと身辺整理や財産のことも含みますが、葬儀・お墓の準備も終活の重要な柱です。70代からでも遅くありませんので、できる範囲で始めてみましょう。
2. 葬儀の基本を押さえよう
葬儀について考える第一歩は、どんな形で送りたいかをイメージすることです。従来は親族や知人を広く呼ぶ一般葬が主流でしたが、最近では家族や親しい人だけで見送る家族葬や、ごく小規模で行う密葬(みっそう)、通夜を省略して1日で行う一日葬、通夜・告別式を行わず火葬だけ行う直葬(火葬式)など多様な形式があります。
2-1. 一般葬と家族葬、どちらにする?
一般葬は従来からある葬儀形式で、親族だけでなく故人と関係のあった友人や仕事関係者、ご近所の方など幅広く参列者を招きます。規模が大きくなりやすく、会場も葬儀会館など比較的大きな式場を利用することが多いです。ご香典へのお返し(返礼品)や通夜振る舞い・精進落としの食事なども用意するため、費用は高めになりがちです。しかし、その分「たくさんの人に見送ってもらえる」「地域や会社へのけじめになる」といった利点もあります。
家族葬は近年増えている形式で、故人とごく親しい身内や友人のみで執り行う小規模な葬儀です。参列者が少人数のため、アットホームで落ち着いた雰囲気で見送ることができます。費用面でも会場規模が小さく飲食の用意も最小限で済むため、一般葬より抑えられる傾向があります。ただし後日、葬儀に参列できなかった方から弔問を受けたり香典をいただいたりすることもあるため、その対応は必要です。
実際、家族葬の割合はここ数年で大きく伸びています。2024年のある全国調査では、葬儀全体のうち家族葬が50.0%を占めて最も多く、次いで一般葬が30.1%、一日葬が10.2%、直葬(火葬式)が9.6%という結果でした(e-sogi.com)。地域差はありますが、今や「葬儀は家族葬で」と考える方が非常に増えていることがわかります。70代の皆さんも、「自分の葬儀はできれば家族だけで静かに送りたい」など希望があれば、遠慮なくご家族に伝えておきましょう。それが今や決して珍しいことでないと知れば、安心して話し合えるはずです。
2-2. 葬儀内容の希望をリストアップ
葬儀の規模以外にも、事前に考えておきたい項目があります。例えば、以下のようなポイントです:
これらの希望は、エンディングノートという形で書面に残したり、家族に口頭で伝えておいたりすると確実です。エンディングノートとは、終活用のノートで、自分の希望や伝言を自由に書けるものです。法的な効力はありませんが、残された家族へのメッセージとして非常に有用です。特に葬儀に関する希望事項は、エンディングノートの中でも大切な項目です。
まだ具体的に決められない場合でも、まずは「自分はどんな雰囲気の葬儀がいいかな?」と想像してみましょう。思いついた希望はメモを取るかノートに書き始めてください。些細なことでも書き出すうちに、やりたいことや譲れない点が見えてきます。また、信頼できる葬儀社に生前相談(事前相談)をしてみるのもおすすめです。パンフレットの資料請求をしてサービスやプランを比較したり、直接相談して見積もりを取ったりすることで、具体的なイメージが湧いてくるでしょう。
3. お墓の基本を押さえよう
葬儀と並んで大切なのがお墓について考えることです。日本では多くの方がお墓(お墓石のある墓地)を持ち、そこに先祖代々の遺骨を納めています。しかし現代では、お墓の形も多様化していますし、お墓を取り巻く状況(継承者の有無や墓地事情)も変化しています。70代の皆さんがお墓について考える際、まず次の点をチェックしてみましょう。
3-1. 現在のお墓の状況を確認
まずはご自身やご家族がお入りになる予定のお墓があるかどうか確認しましょう。すでに先祖代々のお墓があり、将来的にもそこに入る予定の方は、そのお墓を誰が管理していくかを考える必要があります。例えば「長男がお墓を継ぐ予定だけど、子どもは遠方に住んでいて将来管理が難しいかも」という場合や、「自分たち夫婦だけでお墓を新しく建てたが、子どもがいないので後を頼める人がいない」という場合など、それぞれ状況が異なります。
3-2. 生前にお墓を準備するメリット
お墓について検討する際、最近注目されているのが**「生前墓」や「お墓の生前購入」**という考え方です。生前墓とは、生きているうちに自分のお墓を建てたり購入したりしておくこと。従来、お墓は亡くなってから遺族が用意するものでしたが、近年では本人が元気なうちにお墓を準備するケースが増えています(senior-job.co.jp)。
生前にお墓を用意するメリットはいくつかあります。
このように、生前にお墓を準備することには多くの利点があります。デメリットがあるとすれば、まとまった費用が事前に必要になることや、購入後に「やっぱり別の場所が良かった」と変更が難しいことなどですが、慎重に選べば問題ありません。興味がある方は、第5回記事で生前購入の具体的な手順や注意点を解説しますので参考にしてみてください。
現在お墓がない方は、まず資料を取り寄せて情報収集してみましょう。インターネットや電話で霊園・墓地の資料請求をすれば、立地や価格帯、設備など比較できます。また気になる霊園や納骨堂が見つかったら、積極的に現地見学に出かけてみましょう。実際の雰囲気やアクセス、管理状況を見ることで、写真や資料だけでは分からないポイントに気づけます。
4. 葬儀・お墓にかかる費用と備え
葬儀やお墓の準備を考える上で、費用の目安も知っておきたいポイントです。漠然と「葬式はお金がかかりそう」「お墓を建てるには高額なお金が必要」と心配される方も多いでしょう。確かに決して安いものではありませんが、平均的な費用感や、費用を抑えるコツ、公的な支援制度について知っておけば、資金計画の見通しが立てやすくなります。
4-1. 葬儀費用の相場
葬儀費用は規模や地域によって大きく異なりますが、全国平均のデータがあります。日本消費者協会の「葬儀についてのアンケート調査」(第12回)によれば、葬儀全体にかかった費用の平均額は約161.9万円と報告されています。ただしこれは通夜・告別式を含む一般的な葬儀のケースで、近年増えている家族葬ではこれより低い傾向があります。またコロナ禍前(2017~2019年)の平均は約177.8万円だったのが直近では161.9万円に減少しており、やや簡素化・低価格化の流れも読み取れます(kurashinotomo.jp)。
費用の内訳としては、式場費用・葬儀一式の費用(祭壇や棺、霊柩車などセットになった基本プラン代)、飲食接待費(通夜振る舞い・精進落としの料理や飲み物代)、寺院費用(お布施やお車代など宗教者への謝礼)が三大項目です(resonabank.co.jp)。このほか、会葬礼状や返礼品(香典返し)の費用、遺影写真代、死亡届等の行政手続き費用などもかかります。
家族葬や直葬の場合: 参列者を大幅に絞った家族葬では飲食費や返礼品がほとんど不要になり、費用を抑えられます。直葬(火葬式)はさらに簡素で、通夜・告別式を行わず火葬のみのため、火葬料や最低限の手続き費用に限られます。自治体にもよりますが直葬の費用相場は20~30万円台とも言われます(sougi-korekara.com)。ただ、直葬は親族の理解が必要な場合もあるので、希望される場合は事前によく話し合っておきましょう。
4-2. お墓にかかる費用の目安
一方、お墓に関する費用も事前に知っておくと安心です。お墓にかかる代表的な費用は、墓地の永代使用料(土地を使用する権利金)、墓石工事代(石材店に支払う墓石建立費用)、そして管理料(年間数千円~)です。
墓地の永代使用料は、公営墓地か民間霊園か、立地(都市部か郊外か)、区画の広さによって大きく異なります。都市部の公営墓地では一区画数十万円~数百万円、地方では数十万円以下の場合もあります。墓石代も石の種類やデザインで幅がありますが、一般的な和型墓石一式で100万円前後から、高級石材や凝ったデザインだと数百万円になることもあります。総額では、一般的なお墓(墓地+墓石)で150~300万円程度が一つの目安と言われます。ただしこれもピンキリで、納骨堂や永代供養墓などの場合はまた費用体系が異なります。例えば納骨堂なら数十万円~、樹木葬なら永代供養料込みで数十万円から始められるプランもあり、選択肢次第です。
4-3. 費用を賢く抑えるコツと公的支援
大きな費用がかかる葬儀・お墓ですが、事前の工夫で節約できるポイントも多々あります。
葬儀費用に不安がある方は、互助会(ごじょかい)と呼ばれる葬儀の積立サービスも検討してみてください。毎月一定額を積み立てておき、いざというときに会員割引で葬儀を行える仕組みです。ただし互助会は途中解約時の返金率など注意点もあるので、第3回記事「葬儀費用の節約術」で詳しく解説します。お墓について費用を抑えたい場合、第4回記事で紹介する樹木葬や共同墓なども視野に入れてみましょう。
5. 家族と話し合い、希望を共有しよう
準備を進める中で忘れてはならないのが、家族との話し合いです。いくら本人が希望を持っていても、家族がそれを知らなければ実現が難しくなります。葬儀もお墓も家族あってのことですから、遠慮せずに一度しっかり話をしてみましょう。
5-1. 話し合いのタイミングとコツ
「自分の葬式の話なんて、子どもに切り出しにくい…」と感じるかもしれません。確かに最初は勇気が要るかもしれませんが、機会を見つけて思い切って切り出すことが大切です。例えば、お誕生日や敬老の日など家族が集まる機会、あるいは親しい知人のお葬式に参列した後などに、「そういえば自分のときはこんな風にしてほしいと思ってるのよ」と明るく切り出してみてはどうでしょうか。案外家族も「実は自分たちも気になっていた」と感じているものです。
話し合う際は、以下のポイントを押さえてみてください:
5-2. 大切な情報を整理して共有
葬儀やお墓の準備に関連して、生前に整理・共有しておきたい情報もチェックしておきましょう。いざというときにご家族が探し回ることのないよう、以下のような事項はまとめておくことをおすすめします:
こうした情報整理は一気に完璧を目指すと大変ですが、少しずつでも始めておくことが大切です。 特に連絡先リストや保険の情報などは、作成したら家族に「冷蔵庫に貼ってあるファイルに入れてあるからね」などと伝えておくと良いでしょう。
6. まとめ:早めの準備で自分らしい最期を迎えよう
最後に、本記事の内容をまとめましょう。70代からの葬儀・お墓準備ガイドとしてお伝えしたかったポイントは次のとおりです。
この記事では総論的にお伝えしましたが、今後それぞれのテーマ(葬儀の種類・費用、お墓の種類・生前購入、葬儀社の選び方、墓じまいの方法、新しい葬儀の形など)について、更に詳しく掘り下げていく予定です。どこよりもやさしく、どこよりも徹底的に解説していきますので、ぜひ次回以降の記事も参考にしてくださいね。
早めの準備は、残りの人生をより安心して過ごすことにもつながります。終活やす子も、皆さんが自分らしい最期を迎えられるよう心から応援しています。まずはできることから一歩ずつ、今日から始めてみましょう。家族と笑顔で過ごしながら、少しずつ備えを固めていけば、大丈夫です。何よりも大切なのは「自分と大切な人のための思いやり」です。その気持ちを持って取り組めば、きっと豊かなシニアライフと納得のいくエンディングが待っていることでしょう。
この記事が皆さんの終活の一助になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考資料・出典:
- 日本消費者協会『第12回「葬儀についてのアンケート調査」報告書』の結果:kurashinotomo.jp
- ハルメク調査「60~74歳の終活に関する意識調査」:halmek-holdings.co.jp, halmek-holdings.co.jp
- 葬儀の形式に関する全国調査(2024年):e-sogi.com
- シニア終活の専門家による解説記事:senior-job.co.jpsenior-job.co.jp
- 辻・本郷税理士法人による終活ガイド:ht-tax.or.jp
- 横浜市公式サイト「国民健康保険 葬祭費の支給」:city.yokohama.lg.jp
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